痛みは取れればよいのか・・
痛みさえ取れればいいです。初めて当院に起こしになった方には、こうおっしゃる方が時々おられます。
お気持ちは十分分かるのですが、痛みは無くなれば良いというものではないと、当院では考えます。
痛みは放っておけばいいと言っているのでは決してなく、痛みは取れるべくして取れないと改善したとは言えません。
例えば、神経ブロック注射というのがあります。
痛みが取れないから神経をブロックする。
痛み止めの飲み薬があります。
痛みが取れないから神経に働きかけて痛みを消す。
関節置換術という手術があります。
痛みが取れないから関節を人工物に取り換えるというものです。
これらの方法が適切な理由により適切に選択されて行われるのであれば、問題はありません。
しかし、膝なら膝が痛くなる理由が見つからないからと言って、神経を無くせばよい、人工ものに替えればよいというものではありません。
鎮痛と改善は同一ではない
膝であれば、股関節の問題が関わっており、股関節の問題は反対側の肩関節が関わっていることがとても多いです。なので、これらを全て改善しなければ膝の改善はあり得ません。
もちろん、自然に改善するチャンスもあり、そういう意味ではある一定期間の様子見ということはあってもよいのですが、その間、炎症が酷くなったり、症状が進行してしまうことのないよう対策が必要となります。
対策無くして、改善するものもあれば、改善しないものもありますので、安全のため、対策は必要に思います。
痛みで全てを測ってはいけません。
痛みはセンサーが働いているとは言え、股関節が原因で膝が痛いのは、膝に痛みが出る分、股関節には痛みが生じていないのは当然ですし、ましてや、肩関節に痛みが生じていれば、膝には痛みは生じません。
痛みで言えることは、せいぜい痛む箇所で炎症が起こっているぐらいのことで、どうしてそこに炎症が起こるのかは何も教えてくれないのです。
改善とは問題部分がすべて改善しなければ本当の改善ではなく、痛みが取れても、こんどは代わりに別の部分が痛み始めたり、痛むことのお陰でそれ以上の無理を抑えられるのに、痛みをブロックしてしまったために抑えなければならない無理を続けることによって、こんどは破壊がおこることすら未来図として描かれてしまうのです。
人類の身体は長い歴史を通じて進化してきました。
なのに痛むという厄介なことが残り続けているのは、痛むことの必要性があるからです。
ただ痛みは取り除けばよいというものではなく、痛みの原因を見極め、そこに対処しなければ、本当の改善はありません。